近い田舎。

2050年には日本の自治体数が半減するだろうと国土交通省がレポートしていま

す。もちろん人口も世帯数も激減しているわけで、GDPの低下と平行してイン

フラのメンテナンスも選択と集中が行われるのはおそらく必然です。いわゆる

コンパクトシティ化が促進されていきます。

そのときに我が自治体は生き残ろうとすべての市町村が地域創成の名の元、活

性化を図ろうと必死です。果たして生き残れるのは・・・・・?

僕は、その生き残り策の一つとして『近い田舎/Close Country』という戦略を

描いています。それはなにも距離的な近さだけではなく、心理的な近さも意味

しています。「心理的な」という表現は「親近感がある」とか「魅力的」とい

う言い方もできるでしょう。軽井沢などは距離も魅力も十分に「近い田舎」の

条件を満たしていますが、神奈川県の藤野町や岡山県の西粟倉村、岐阜県郡上

なども「近い田舎」です。この辺りになると「魅力」の方が「距離」を上回っ

ているのではないでしょうか。

「近い田舎」になるには歴史的な背景や自然、それに生産物(農業や林業や工

業の成果)という要因が必要になると思いますが、そこには必ず人の笑顔、人

の輪があります。つまり「人が集う」ということ。コミュニティですね。

僕は、「近い田舎」=「魅力的な人々が自然に集まってくる場所」というイメ

ージを強く抱いているのです。

そこで考えたのが、魅力的な感度を持った人々が自然に集まってくるようなコ

ミュニティ形成の核となるような集合住宅づくり。それも自然をとても身近に

感じるような場所だったら素敵だろうなあ!と。

オーガニックライフヴィラolva(オルヴァ)は、そういう考えの元に誕生しま

した。

場所は福岡県朝倉市。福岡市から高速道路を使って30分くらい、一般道ならば

1時間10〜20分くらいの距離。周辺には自然や温泉、旧跡も多く、十分に「近

い田舎」となる条件を備えています。

コンセプトは「森をつくる町に暮らす」です。olvaの森を通って各室へとアプ

ローチするように設計されています。全6戸。すべてメゾネットタイプで、専

用庭も用意しました。

olva_openhouse

このolvaのオープンハウスが3月1日に開催されます。まだ庭のデッキなどはで

きていないのですが、各部屋を見学いただけるので、ぜひご来場いただきたい

とご案内しました。

asa3_web

 

2階の居室はこんな感じ。杉の無垢板を床材にしていて、収納もたっぷり。

asa1_web

1階は広々と使えるキッチン&ダイニング&リビング。陽光の熱を蓄える蓄熱

土間も設えました。

 

〝高感度な人々が集まるコミュニティづくり〟を提案するのも、僕の描く家旅

の一つの役目だと勝手に考えています。ここに空家問題の解決や古民家再生な

どを連動させていくことができないか。

「近い田舎」には、そんなことをイメージさせる力があります。そのうちにUタ

ーンやIターンと共に、Cターンなどという言葉が使われるかも?!CターンのC

は「Close Country」のCです。

 

 

 

2015-02-27 | Posted in 365day's galleryNo Comments » 

プランの準備

3月に来福される建主さんを迎える準備をしつつも、日々の打合せを進めてい
ます。このいずれにも当てはまるのが、フォレストバーンの新しいプランを開
発するという仕事です。せっかくですから、東京で建築可能なリアルなサイズ
感のようなものを提示したいと考えたのです。
この新プランは昨年末からなんとなく考えていて、ジワジワと住まい手のニー
ズをマーケティングしながら、動線やレイアウト、外観などにセプローチして
います。

tabi_mokei

これは、平行して行っている「小さな家」の模型です。

tabi_mokei2

中は、こんな感じ。
コンパクトな切り妻屋根の家で、基本的は二人暮らしを想定しています。
最初は僕が12坪のプランを描き、建主さんがやや大きめのリアルな間取りを描
き返しというキャッチボールを行い、そして建築家がまとめてくれたのが16坪
の平屋です。
しかし16坪と侮ってはなりません。小屋裏に広々ロフトがあるのです。ここを
どう使うかは、建ててからのお楽しみです。

小さな家を考えるという行為には〝家づくりの楽しみ〟がいっぱい詰まってい
るように思います。ここをどんな風に使おうか、デザインしようかという想像
をしているとワクワクしてきます。

今考えている新しいプランもまさに『小さな家』です。まだ模型もないのでイ
メージをうまくお伝えできませんが、コンセプト的なことをいうと、住まい手
が自由に使える空間がコンパクトな中にもしっかりと配置されているというも
の。限られた空間にこそ無限大の可能性があるという思いでプランを描いてい
ます。

日本の限られた空間といえばすぐに茶室が思い浮かびます。あんな手の届くよ
うな広さの中に、無限大の夢を描くことができればと思います。

2015-02-20 | Posted in 365day's galleryNo Comments » 

京都へ。

二組の建主さんからご相談があったので、京都へ行ってきました。いずれも土
地からお探しの方々です。
まずはじっくり時間をかけて、家づくりのポイントをお話させていただきます。
いつもセミナーなどでお話させていただく内容です。まあ個別セミナーのよう
な感じです。このサイトでは『家心』にまとめているようなことを、やや早口
でお話しました。早口はダメですよ、ゆっくりゆっくりという誰かの声が聞こ
えてきそうですが、大学の演劇部で〝速射砲のようなセリフ回し〟を心がけて
いた我が身に馴染んだ癖はどうすることもできないようです。
土地からお探しなので、土地選びのポイントもお伝えし、候補地も見てきまし
た。ご案内いただく道すがら、さすが京都、目を引く住宅が点在しています。
そのどれもが、古都の風情に敬意を表しています。住んでみたい町だなあと、
素直にそう思うのでした。
二日の行程のうち、二日目の朝、俄雨でしたが西陣の「かみ添」さんをうかが
いました。

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店内の壁に貼られた和紙が、静かになにか語りかけてくるようです。
奇麗だなあ。
店主で職人の嘉戸さんやその奥様と話していると、時間の経つのを忘れるよう
でした。お二人からは京都の土地事情などもアドバイスしていただきました。
オリジナルの版木をつくることもできるようで、そうすればオリジナルの和紙
をつくって襖などに貼ることもできるということ。さっそく参考にしようと一
枚、円を描いた和紙を購入させていただきました。

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これは正面から紙を見たところ。

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こちらは、やや斜めから見たところ。
この角度による変化が顔料絵の具の見え方に表れてきて、店内の壁のような雰
囲気を醸し出しているのですね。

写真は、福岡に戻ってきてギャラリーの壁に仮留めして撮ったものです。

土地探しは、すんなりと行くことは少なく、なかなかピンとくる場所が即座に
見つかることはないので、じっくりとお手伝いすることになりそうです。

でも、こうやって旅に向かうと、「かみ添」さんとのような貴重な出会いもあ
るので、いろんな町に出かけていきたいと思います。
昨日、今日と、船乗りの方やサラリーマンの方から福岡に家を観に来たいとい
うお電話がありました。
家旅、まんざらでもないかもしれません。

2015-02-20 | Posted in 旅に向かうNo Comments » 

家旅スタート

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【はじめに】
日本の中でも九州の福岡を中心としたエリアは、豊かな自然も程近くにあり、土地の価
格も驚くほど高額ではないことから、理想的な家づくりをする条件に恵まれています。
僕らはこの地を本拠地として、これまでに数多くの建築家住宅をコーディネートしてき
ました。なかでも全国の仲間と共につくり上げていこうとしている『フォレストバーン』
というパッシブ住宅ブランドは、まず福岡でモデル住宅を造ることが多く、その中には
独自の温熱システムなどでも(建主さんのご協力を得て)実験的な取組みをしているこ
とがあるので、全国の工務店さんからの視察研修も受け付けています。
そして遂には、東京の建主さんにもわざわざ福岡までお越しいただくことになりました。
そこで考えたのです。一生に一度の家づくりですから、もしかしたらそんな風に見学や
体感をご希望になる建主さんが他にもいらっしゃるかもしれない、と。もしそうだとし
たら、それを受け入れる準備を本格的に行い、一度の家族旅行で家づくりに必要な知識
や体感というものを可能な限りたくさん持ち帰っていただけるようにしてはどうだろう。
もちろん、こちらからいろんな町に僕が出かけていって、その地の仲間たちとスクラム
を組んで家づくりをすることだって多々あるので、つまりは、来たり、行ったりの家づ
くりなのですが、そうだ、とりあえずはこれを『家旅』と呼ぶことにしよう、とネーミ
ング好きな僕は、早々にそういう名前を頭に浮かべた次第です。

この『家旅』は、「家づくりの国・福岡」の様々な家づくりへ読者の皆さんをご案内す
る家旅エッセイです。でも、時々、日本のいろんな町にも旅巡業いたします。

365days。とりあえずは、一年間を通して家旅を続けるのが目標。
2015年2月15日から2016年2月までの365日の家づくりの旅をご案内してまいります。
できるだけ丁寧に旅案内をしてまいりますので、家づくりに興味のある方はぜひご覧く
ださい。

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今に至る僕らの活動は、そもそもは「理想の家が建てたい」「そのための仕
組みがないから、それをつくろう」というそんな思いからスタートしたのでし
た。それが1999年のこと。準備期間があって、正式なスタートは2000年でし
た。

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まず最初に行ったのはコンセプトを伝えるための雑誌をつくるということ。
キャッチフレーズは「あの建築家へのオーダーブック」です。建築家から提案
を受けたプロトタイププランを掲載していて、その雑誌を読んだ読者から直接
設計の依頼をもらえるシステムも考えました。
会社の名前はプロトハウス事務局と言います。プロトタイプにハウスをプラ
スした造語で、起業のコンセプトが込められたネーミングです。つまり僕の頭
の中では最初から「プロトタイプからはじまる家づくり」を構想していたので
す。しかし不思議なもので、一番目に完成した家(N邸/とてもモダンな箱の
家でした)も完全なる自由設計の建築家住宅。その後、何年間にも渡ってコー
ディネートしてきた家のほとんども大変な自由設計の建築家住宅ばかりでした。
思えば、その時から僕らの家旅ははじまっていたのかもしれません。
その後は、建築家との家づくりのコツを紹介した本や、311の際には居住性
を確保した仮設住宅を提案する本を、最近はある家族の家づくりを通してシン
プルな幸福づくりについて考えた本などを著作しています。

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2015年2月、新たに『家旅』をスタートします。この企画は大きな意味での
家旅でもあり、エリアを限定した家旅でもあります。エリアを限定してという
のは、具体的に言えば、これまでに数多くの家づくりを行ってきた福岡エリア
を中心にしてという意味です。もちろん、関東や関西でも建築家住宅をコーデ
ィネートしてきましたし、今もコーディネートしているのですが、暮らすのに
快適な「近い田舎」という意味での福岡エリアでの家づくりは特に実績も多く、
しかも「家」という暮らしの器を考える上で、理想のつくり方ができることが
多いので、そのエリアやそこでの家づくりの進み方をご紹介することをコアに
考えました。そしてそのカテゴリーを「旅を迎える」とし、逆にこちらから僕
が旅して行く家づくりを「旅に向かう」としました。
また、これまでに僕が学んだ家づくりの極意的なことを「家心」としてまと
めていき、過去につくった家の住み心地取材を「暮らしの取材」としてレポー
トしてまいります。これから家づくりを目指される方は、どうかご参考にされ
てください。

この『家旅』は、幾つかの人生のヒントがあって、スタートする入り口に立
ったものです。
その一つが、あるご家族の家づくりのご相談。僕が多くの仲間たちと展開し
ている住宅ブランド『フォレストバーン』に興味を抱いていただき、その建築
実績が多い福岡まで、わざわざ東京からお越しいただくことになったご家族の
物語です。
本日は2月10日。約一ヶ月後にそのご家族S様が来福されるのですが、この3
泊4日の家旅のレシピを僕らは今まさに準備している最中です。さて、どんな家
旅にできるのか。数千キロを飛んでわざわざお越しいただくのですから、最高
の家づくりオモテナシをしたいと誓っているのです。

2015-02-09 | Posted in 365day's galleryNo Comments »